女性活躍 クオータ制について #4

公平な女性登用とは?

 では、女性の昇格・登用において公平・公正な運用とはどのようなものでしょうか。わたしは「昇格候補者の女性比率と、実際に昇格した女性比率を同水準にする」ことが重要だと考えます。

例えば課長資格昇格候補者100人のうち30%の30人が女性だとしたら、昇格した10人のうち女性が30%の3人になっているかどうかを検証するのです。これが30%を上回っていれば「ゲタを履かせている」ことになり、30%未満なら「割りを食っている」ことになります。もちろん選抜する時期によりブレはあると思いますが、5年10年で検証すれば、傾向が出ると思います。検証結果として女性の候補者と昇格者の比率がほぼ同水準なのであれば、役員・部長の女性比率が低いという批判に対して、「わが社は公平公正な実力本位の女性登用を実施している」と胸を張って主張できるのではないでしょうか。

ちなみにわたしが人事部長をしていた会社では、管理職前の担当者の資格が4段階ありました。その最上位資格への昇格候補者の女性比率が30%程度に対して、昇格者も約30%と同水準になっており、毎年30%ずつ昇格していく結果として、担当者最上位資格の在籍者の女性比率も一桁台から徐々に増えて20%台後半までになってきました。担当者最上位資格の社員における女性比率の上昇は、すなわち課長資格候補者の女性比率の上昇であり、その結果として課長資格に昇格する女性も年々増加しています。

このように昇格者の女性比率は、女性候補者の在籍比率の増加にともなって徐々に増えていくことが自然です。もともと女性総合職の人数が少なく女性役員が少なかった会社が、新卒や中途で女性総合職社員を増やしていったとしても、女性役員が30%に達するまでには相応の年数がかかることになります。しかし各資格層での女性の候補者と昇格者の比率を明らかにすることで、外部からの雑音に対して明確に答えられるとともに、社員に対しては実力本位の運営を実施しているというポジティブメッセージを発することができるのです。

人事部長F について

大手金融機関で人事業務を8年、うち人事部長を4年間務めきました。 人事部長として考えてきた人事戦略・人事運営に関する考えを このブログで発信していきます。
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