女性活躍 クオータ制について #2

クオータ制反対の理由① 日本経済との相関関係

クオータ制反対の理由の一点目、日本の経済状況と女性管理職との関係について見てみましょう。下表のとおり、日本のGDPは高度成長期を経て1980年US$1.13兆から1995年のバブル期にUS$5.55兆まで5倍近く拡大し、一人当たりGDPは世界17位から3位(最高は世界2位)まで右肩上がりで伸びました。その期間の管理職女性比率は、7.0%から9.8%と伸びてはいるものの、それ以降の伸びと比べると顕著なものとは言い難いものです。

その後、失われた20年を経て2021年には日本のGDPはUS$4.93兆まで約10%縮小し、一人当たりGDPは世界28位まで下がりました。一方その間、上場企業の女性役員数は60名から3,000人超まで50倍に増え、女性役員比率は0.75%から7.50%まで劇的に増加しました。管理職女性比率も9.8%から2020年には15.7%と1.5倍になりました。

 確かに欧米と比べると、企業における女性役員の比率などはまだ大きく見落りします。内閣府男女共同参画室が出している諸外国の女性役員割合によると、2021年は日本12.6%に対して、米国29.7%、ドイツ36.0%、英国37.8%となっています。 女性活躍の意識や環境整備の遅れ、女性の就業観の違いなど様々な要因があると思われます。しかし時系列データを見る限り、バブル崩壊までの日本経済の拡大とその後の失われた20年の凋落は、女性の役員や管理職への進出と相関関係があるとはとても言えない結果です。日本経済の凋落を女性進出の遅れと関連づけてクオータ制導入を声高に叫ぶ意見には違和感を覚えます。

人事部長F について

大手金融機関で人事業務を8年、うち人事部長を4年間務めきました。 人事部長として考えてきた人事戦略・人事運営に関する考えを このブログで発信していきます。
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