大企業の不祥事には底流に流れる共通点がある
さて、いきなり人事と関係なさそうなテーマになりましたが、一流大企業の不祥事ってよく起こりますよね。社長さんや重役の皆さんが並んで謝罪会見をする映像が浮かんできます。
不祥事といえば、2000年ころから度々起こった三菱自動車の不祥事が思い出されます。当時の運輸省への内部告発で発覚したリコール隠し、小説「空飛ぶタイヤ」のモデルにもなったトラックの車輪脱落事故、さらに2016年の燃費詐称事件など立て続けに起こりました。
結局単独では生き残れず、ルノー日産グループに併合されるまでになりました。原因としては、表面を取り繕い真因を掘り下げない風通しの悪い組織風土、減点主義や事なかれ主義などの企業文化があげられました。不正のたびにコンプライアンス態勢の改善計画が発表されましたが、結果としては機能せず不正が繰り返されました。
2015年に証券取引等監視委員会への内部通報で発覚した東芝の不適切会計もありました。これは2006年のウェスティングハウス買収の失敗やその後のリーマンショック、半導体不況などによる業績不振を隠すため、社長三代にわたって1,500億円もの利益かさ上げが行われてきたものです。
「チャレンジ」という高い業績目標へのプレッシャーの下で、上司の意向に逆らうことができない風通しの悪い企業文化が原因の一つと言われています。その後東芝はアクティビストファンドが大株主になり、現在でも経営は迷走が続いています。
この二つの不祥事の原因には、目先を取り繕い本質を見ない、声を上げられない風通しの悪い企業文化、ガバナンス態勢や再発防止策は立派なものを作るが機能しない、などの共通点が見られます。
三菱自動車も東芝もわが国を代表する一流大企業であり、立派な学歴の社員が入社して一生懸命働いている会社です。いずれも内部通報による発覚であることから見ても、心ある社員の方は多数存在していたのでしょう。
それなのに何故、このような不祥事が起こるような風通しの悪い企業文化になってしまうのでしょうか?わたしは、原因としてサラリーマン大企業にはびこる人材登用の罠があると考えています。